研究課題/領域番号 |
16405012
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
生物多様性・分類
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
半澤 直人 山形大学, 理学部, 助教授 (40292411)
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研究分担者 |
原 慶明 山形大学, 理学部, 教授 (60111358)
玉手 英利 山形大学, 理学部, 教授 (90163675)
上島 励 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (20241771)
NAKAUCHI Yuni Yamagata University, Faculty of Science, professor (60250908)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2006
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キーワード | パラオ諸島 / 海産動物 / 海水湖集団 / 遺伝的多様性 / タンパク質 / 藻類 / 陸生貝類 / 分子系統解析 |
研究概要 |
「海洋で生物はどのように進化するのか?」を解明するために、古くから研究が行われてきた。しかし、海洋ではgene flowが広範囲で起こるため解析がむずかしい。実際、我々が研究したアイゴ科魚類(Kuriiwa et al.,in press)でも、地域集団間や異種間で大規模なgene flowが生じるため進化の解析はむずかしかった。 そこで、我々はパラオ諸島の海水湖群に着目した。パラオには、サンゴ礁に由来する多孔質石灰岩に囲まれた海水湖群が約80ある。そのうちの部分循環湖では、潮の干満により石灰岩の孔を通して海水の循環は起こるが、海洋生物は外海との間を行き来ずることはできない。これら海水湖群は約12,000年前に形成され、海水湖の生物は湖形成時に隔離されて以来進化してきたと考えられる。我々はこれら海水湖群を海洋生物の進化モデルと位置付けて研究を行った。 海水湖群に優占する魚類、二枚貝類、甲殻類、クラゲ類、藻類を対象として調査した結果、種組成は外海と大きく異なっていた。海水湖群の生物を外海の同種または近縁種と比較した結果、海水湖群のクラゲ類や、大型藻類は形態が大きく変化し、生態、行動も異なっていた。さらに、海水湖集団は外海集団に比べて遺伝的多様性が低く、海水湖ごとに固有の遺伝的分化を遂げていることが明らかになった。すなわち、海水湖群の生物は各海水湖内に隔離されてから、強いビン首効果を受けて約12,000年の間に固有の進化を遂げたと考えられた。海水湖モデルとの比較のため、島々に生息する陸貝類の研究を行った結果、島ごとに固有の形態を持つ多様な種が観察され、それらの多くは未記載種であった。このように移動能力が低い陸貝でも、隔離により多くの種が分化したことが示唆された。 以上のように、隔離条件下では短い進化時間でも速く進化が進み、隔離が続けば地理的に近い生息地でも種分化が確実に起こることが予測された。
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