研究課題/領域番号 |
16405016
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
人類学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
諏訪 元 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (50206596)
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研究分担者 |
河野 礼子 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究官 (30356266)
海部 陽介 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究官 (20280521)
近藤 修 東京大学, 理学系研究科, 助教授 (40244347)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | エナメル厚さ / 初期人類 / 類人猿 / 化石種 / 咀嚼器 / 臼歯 / マイクロCT / 機能形態 |
研究概要 |
本研究では、初源期の人類化石の系統的位置付けと適応的解釈に資することを目的とし、主として初期人類と中新世類人猿を対象に、エナメル質の厚さに焦点をあて、臼歯の内部構造に関する形態学的調査と解析を進めた。初源期から更新世へ至る猿人およびホモ属の人類歯牙化石と中新世類人猿の歯牙化石について、マイクロCT装置による高精細三次元全歯冠データと自然断面におけるエナメル質厚さデータの双方を統合することを目的とし、マイクロCTによる撮像データを新たに取得するとともに、今までに蓄積してきた現代人、現生類人猿、アルディピテクスなどのデータ群と合わせて解析を進めた。また、人類と類人猿化石を論ずる前提として、標本数の多い現生種を用い、まずはエナメル質厚さの断面上における評価法を確立し、次に二次元・三次元における対応関係などを把握した。これらの結果を踏まえ、CTと断面データの双方を基に、初源期の人類とアウストラロピテクス各種の比較を実施した。その結果、大きな進化の流れとして、非頑丈型猿人の状態を基準とすると、中新世末の初源期人類段階においては全体的にエナメル質が薄く、アウストラロピテクスの中では、アナメンシスは部位によって若干薄い傾向が残存している一方、頑丈型の各種においては歯のサイズの増大にともないエナメル質の厚さも増している、との進化傾向が確かめられ、その結果の一部を論文発表した。また、中新世類人猿化石については、先行研究の結果と異なった予備的結果が得られ、計測部位や方法の違いの影響が大きいことが示唆された。エナメル質厚さは種内でも個体変異の幅が大きいことも明らかとなり、今後は標本数の充実が可能な現生種において、変異モデルをさらに整備すると同時に、化石資料においてはCTと自然断面の双方のデータ群を生かした種間比較を充実させる必要性が示された。
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