研究課題/領域番号 |
16405022
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高藤 晃雄 京都大学, 農学研究科, 教授 (50026598)
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研究分担者 |
日本 典英 農業生物資源研究所, 昆虫-昆虫・植物間相互作用研究ユニット, 主任研究員 (80370675)
後藤 哲雄 茨城大学, 農学部, 教授 (60178449)
天野 洋 千葉大学, 園芸学部, 教授 (00143264)
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キーワード | COI / 塩基配列 / 分子系統樹 / カンザワハダニ / 系統分化 / DNAバーコード |
研究概要 |
本年度は、これまでにアジア各地で採集・保存したカンザワハダニの標本に加えて、北海道北部で新たに採集した標本を含め、ミトコンドリアCOI塩基配列を用いたDNAバーコードによって種の確認を行い、さらに分子系統樹を構築した。その結果、日本、韓国、台湾の23系統から14のハプロタイプが検出され、それらをもとに系統樹を作成すると、わが国本州以南の個体群は、台湾・韓国の個体群とあわせて遺伝的にきわめて均質であることが判明した。タイやベトナム北部の個体群でもこれらの個体群と明瞭な差は認められなかった。このように、韓国、台湾、ベトナムなどを含む東・東南アジアの個体群から得られたCOIのハプロタイプは多型が貧弱で、わが国南部に分布する個体群と塩基配列の違いはわずかしかなかった。ただ、インドネシアジャワ島の5個体群、計46個体の塩基配列にはまったく変異が検出されず単一系統を形成していたが、この塩基配列は、わが国を含めた上記の地域の個体群においてこれまで知られたものとは異なり、インドネシアにはかなり以前に小数個体が侵入して分布拡大したと考えられた。一方、北海道北部から採集した13個体群、計118個体からは13のハプロタイプが検出され、1個体群から複数のハプロタイプが検出された個体群が9つあり、この地域のカンザワハダニの遺伝的多様性が大きいことが明らかになった。これらの結果から、カンザワハダニの起源地は北方にあり、そこを基点に南方に分布を拡大していったと推察された。
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