研究課題/領域番号 |
16405023
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
舟川 晋也 京都大学, 農学研究科, 助教授 (20244577)
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研究分担者 |
縄田 栄治 京都大学, 農学研究科, 助教授 (30144348)
小杉 賢一朗 京都大学, 農学研究科, 助手 (30263130)
真常 仁志 京都大学, 農学研究科, 助手 (70359826)
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キーワード | クジルオルダ州 / Differential-GPS / 塩類集積 / 地下水位 / 粘土含量 / イネ収量 |
研究概要 |
カザフスタン国クジルオルダ州のSG・SM農場を調査対象とした。両農場ともシルダリア川を灌漑水源とし、SGは左岸水系上流部に、SMは右岸水系下流部の湿地帯に位置する。一般に塩類集積には地形が影響する場合が多いため、本研究では農場内の計95の調査地点でDifferential-GPSにより測量を行った。同時に下層土・地下水をそれぞれ採取し、塩濃度の指標となる土壌の水抽出液および地下水のECと土壌の粒径組成について分析した。また2004年8月には水田中に50cm×50cmのプロットを設け、稲の収量と、同地点の湛水深を測定した。 農場全体の傾斜は0.05%程度であった。両農場とも緩やかな傾斜部と平坦部を有し、SGの低地は局部的に窪地を含んでいた。非灌漑期の水田条件下での塩濃度は、表層土・下層土ともに、窪地以外ではある程度低く抑えられていた。傾斜部では相対標高と粘土含量が下層土の塩濃度と相関を持っていた。これらの条件が排水を規定し、下層土の塩類残存量に影響していると考えられる。また平坦部では、粘土含量が多いほど表層土への塩類の再集積が起こりやすい傾向にあった。灌漑期には、水田条件下では表層の塩類はほぼ洗い流されていたが、イネの生育(一穂粒数)は塩濃度の比較的高い地点で悪くなる傾向にあった。さらに、湛水の深い地点や低標高部では生育が悪くなっていた。過剰な灌漑が排水不良をもたらし、結果的に収量を低下させていると考えられる。 一方、灌漑期の畑作条件下では、地下水位が塩類の表層集積量を大きく規定していた。水位は主に標高が低い地点で高くなっていた。塩濃度の高い農地では塩害が起こっており、まったく収穫が得られない場合が多い。 今後これらの知見に基づいて、当該地域における持続的な農業生産の条件を、衛星写真なども併用して検討していきたい。
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