研究課題/領域番号 |
16405029
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
池上 甲一 近畿大学, 農学部, 教授 (90176082)
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研究分担者 |
小野 征一郎 近畿大学, 農学部, 教授 (40017075)
山尾 政博 広島大学, 生物資源学部, 教授 (70201829)
榎 彰徳 近畿大学, 農学部, 助教授 (40122022)
前潟 光弘 近畿大学, 農字部, 講師 (10268451)
鶴田 格 近畿大学, 農学部, 講師 (60340767)
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キーワード | オルタナティブトレード / フェアトレード / 南北問題 / 農産物貿易 / 一次産品 / フェアトレード認証 / エコシュリンプ / 組合間協同 |
研究概要 |
本年度は研究期間の初年度にあたり、オルタナティブ・トレードの理論的深化とフレームワークの構築に向けた研究会を3回開催した。そのうち、1回はモラル・エコノミー研究会との合同で行った。この研究会ではとくに、制度的な側面と人的な側面の両面からオルタナティブ・トレードを捉えていく必要があること、この点で制度派経済学やモラル・エコノミー論との切り結びが有効と考えられること、オルタナティブ・トレードの成功とは何を意味するのかについての考察が求められること、などの論点が明らかになった。他方、実態調査についてはオルタナティブ・トレード研究の遅れている南アフリカにおいて予備調査を行ったところ、西ケープ州でいわゆるフェアトレードが取り組まれていることが分かり、次年度以降の本格調査へのめどが立った。タイでは、従来の調査地である南部ラメー地方の有機バナナ産地の変化をおさえるとともに、北部山岳地域でフェアトレード・コーヒーを生産している農民と仲介組織の存在を把握できた。この地区では、日本のオルタナティブ・トレード組織を通じてスーパーへ出荷している。このことは、日本でもフェアトレードの認証ラベルに基づく市場流通の拡大を予想させるが、同時にそこに潜む危険性についても考察を深める必要性があることを示している。オルタナティブ・トレードの論理構造は何も、国際関係だけにとらわれるものではない。アメリカでもローカル化やCSA(Community Support Agriculture)という文脈でオルタナティブ・トレードが注目されている。日本では20年以上も前から有機農業で産消提携が取り組まれており、その成果と限界を評価することがオルタナティブ・トレード研究にとっても有益であることが分かった。 以上のような諸点について日本農業経済学会、地域農林経済学会、中部農業経済学会や2004年度フェアトレード大会(オックスフォード大学ノース・ビジネススクール主催)などで報告した。
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