研究課題/領域番号 |
16405029
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
池上 甲一 近畿大学, 農学部, 教授 (90176082)
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研究分担者 |
小野 征一郎 近畿大学, 農学部, 教授 (40017075)
山尾 政博 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (70201829)
榎 彰徳 近畿大学, 農学部, 准教授 (40122022)
前潟 光弘 近畿大学, 農学部, 准教授 (10268451)
鶴田 格 近畿大学, 農学部, 准教授 (60340767)
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キーワード | オルタナティブ・トレード / フェアトレード / 南北問題 / コーヒー貿易 / 水産物貿易 / 社会的責任 / 消費者責任 |
研究概要 |
本年度は研究成果のとりまとめに重点を置き、日本語の報告書に加えて、農水産物のフードチェーンにおけるオルタナティブ・トレード(AT)の必要性と可能性を世界に向けて発信するために英文による単行本を公刊した。そのポイントは(1)南北問題の質的転換が起こり、従来の市場メカニズムとは異なる論理に立脚する農水産物貿易のあり方を再考する時期に来ている、(2)その際に消費者の役割が大きいけれども、日本では消費者の社会的責任に対する認識をもっと深める必要がある、(3)台湾ではATの1形態であるフェアトレードが認知され始めている、(4)こうして、世界的に見て立ち遅れていた東アジアのフェアトレード市場に拡大の可能性が生じている、(5)ATの担い手として協同組合セクターの役割が大きい、などの諸点にある。 またインドからATの実務家を招聰して共同研究を行ったほか、タンザニアのロゼーラ、タイと台湾の果実、グアテマラの先住民によるフェアトレード・コーヒー(以上、農産物)、タイ、インドネシア、フィリピンのエビ、中国のハモ(以上、水産物)について補足調査を実施した。明らかになった知見は以下の通り。(1)ロゼーラはハーブティーなどとしての利用可能性があるが、世界市場に供給できる態勢にはなく、小農民のATによせる期待は高い。(2)台湾のバナナ生産では観賞用のバナナの花や葉の生産といった新しい動きが始まっている。(3)インドネシアのスラバヤ近郊では粗放的なブラックタイガーの養殖が行われており、日本の生協を主な供給先とするオルタナティブ・トレードが拡大しつつある。(4)フィリピンの南ネグロス農水産多目的協同組合は環境調和型養殖管理を営むほか、環境負荷の大きいエビより・も持続可能性の高いサバヒ蕃殖に重点を置いている。
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