研究課題
基盤研究(B)
ナイル全流域モデルを考えるために、ナイル川水資源の重要な課題を整理し、各地点流量の全般的評価を行った。今年度は関係資料の収集と部分モデルの作成を行った。分布型モデル作成の前に、統計的流域応答モデルについて検討し、一般に入手可能なデータとしてデラウエア大学のデータベースを用いて降水入力量を与え、関係気象データを基に蒸発散の空間分布をとらえ、GIS地形データによる流下経路に従って計算した応答関数を適用して目的地点の流出量変化のシミュレーションを行った。実用的な全流域的モデルの現状を把握するためエジプト水資源潅漑省のNile Forecast Centerを訪れ、モデルの実態と利用状況を調査したが、流量予測結果については一部のみ公表しているだけで、その実用性については疑問が持たれた。また、実測流量データについては限界があり、検証地点も多くはとれない状況であった。利水関係ではスーダン・ゲジラ潅漑地区の調査を行い、GPS測量による潅漑地区境界を明確にし、利水環境の基礎調査を行うとともに、農民団体から直接聞き取りによる潅漑水管理の実態と問題点について整理した。GPSによるground truthデータは各作物の蒸発散、水利用を定量する上で重要であった。これらのデータを基にLANDSATデータから算定したゲジラ潅漑地区での蒸発散量の推定値は実測データともよく一致し、広域にわたる潅漑地区全域の蒸発散量の空間分布が明らかになり、用水の合理的配分や利用上有用な情報が得られた。高水管理問題では洪水等の予測に関連して河道流量の時間予測法について検討し、Nearest-Neighbor法、Local-linear Approximation法等による予測精度を比較した。ナイル上流エルダイム地点での高水及び低水流量の予測結果では、これらの方法での10日前、20日前予測は実用レベルの精度であった。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
Proc.the 4^<th> International Symposium on Digital Earth
ページ: 1-5
Proc.International Conference on Monitoring, Prediction and Mitigation of Water-Related Disasters
ページ: 73-78
Session Report of Disaster Prevention Functions in Rural Areas and Disaster Resistant Sustainable Livelihoods. WCDR
ページ: 19-28