研究課題/領域番号 |
16405038
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森田 茂紀 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00143404)
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研究分担者 |
山岸 順子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60191219)
阿部 淳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (60221727)
鴨下 顕彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (10323487)
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キーワード | 天水田 / タイ / 農家調査 / 直播 / イネ / 農業技術 |
研究概要 |
タイ王国東北部を中心とする天水稲作地帯での農家レベルでの稲作技術の実態を明らかにしながら、天水稲作生産性改善のための新技術創出のために、農家水田の環境調査、稲作技術・栽培の聞き取り調査、研究所内での圃場試験を行った。タイ国東北部のヤソトン県とロイエット県で、タイ国農業省の「農家参加型研究プロジェクト」サイトの農家10戸で、圃場の状態や微気象環境を簡易定量した所、地域間、1つの村落内、あるいは1戸の農家の隣接する圃場間でも、天水田の養水分状態に大きな変異があり、イネの成長・生産に大きな影響を及ぼしていた。また、ウボン県において直播栽培を導入している農家でも同様の環境測定と聞き取り調査を行い、直播栽培の実態を観察した。ウボン県の調査村落では他の東北部に比べて直播栽培の割合はまだ少ないものの、1990年代後半から導入が始まり増加してきている。直播農家での種籾の播種量は30-180kg/haと大きな幅があり、研究所の奨励播種量よりも多い場合もあったが、実際の苗立ち数は研究所の圃場よりも著しく少なくなる場合があった。研究所内で行った圃場試験では、丁寧に均一な深さで播種した場合には、養分ストレスや乾燥ストレス条件下でも、苗立ち数は劇的には減少しなかった。また、研究所内で、湛水期間に差のある圃場を用いて、乾田直播栽培と移植栽培の収量性を、14品種・系統を用いて比較し、苗立ちや生殖生長に関して、直播栽培への適応性の遺伝的変異があることを示した。さらに、タイ王国東北部との比較をするために、タイ王国東北部に隣接するカンボジア西部の代表的な直播栽培地帯であるバッタンバン州で簡単な農家調査を行った。タイ東北部では、100%の調査農家がKDML105とRD6の2品種だけを使っていたが、カンボジア西部ではより多くの品種が使われており、また播種量もより高かった(200kg/ha)。
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