研究課題
タイ王国東北部を中心とする天水稲作地帯での農家レベルでの稲作技術の実態を明らかにしながら、乾田直播栽培の生産性改善のために、ウボンラチャタニ市周辺の水田の実態調査、稲作技術・栽培の聞き取り調査、研究所内での圃場試験を行った。ウボンラチャタニ市周辺の調査村落では他の東北部に比べて直播栽培の割合はまだ少ないものの、1990年代後半から導入が始まり、村落ごとに10〜100%までの幅広い技術採択の差異が明らかになった。これには、労働力節約への動機付けや、雑草管理法への習熟年月の違いが、普及率の大きな違いに関係していると推察された。また、雨季開始時の水田の湛水面積の広がる速度とも直播栽培の普及と関連性が見られた。農家の家屋から遠い圃場はしばしば直播に割り当てられていたが、肥料や除草管理などが粗放的になる傾向が強く、より集約的に管理される移植栽培よりも、直播栽培では収量は低下すると、現地の農家にも研究者にも認識されていた。しかし、地形連鎖的に低位の水田の中には、雨季開始時の湛水の開始がより早く、そのため、雑草が少なく、乾物生産が高く、移植よりも高い収量性を発揮する水田があることが観察された。さらに、タイ王国東北部との比較をするために、タイ王国東北部に隣接するカンボジア北西部の代表的な直播栽培地帯であるバッタンバン州で圃場試験を行ったが、試験場の中で強い乾燥がかからなかった条件では、田面水の有無や深さにかかわらず、直播栽培の方が移植栽培よりも多収となり、それには、高い茎数、穂数、乾物重、籾数などが関連していた。
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熱帯農業 50(Extra issue 1)(印刷中)
日本作物学会紀事 75(別1号)(印刷中)
Proceedings of 7th European International Farming System Association Symposium (印刷中)
日本作物学会記事 74(別1号)
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Proceedings of International Conference on Integrated Approach to Improve Crop Production under Drought Prone Enviroments
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