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2006 年度 実績報告書

熱帯および亜寒帯の湿地における土壌からの硫酸流出機構の解析とその対策

研究課題

研究課題/領域番号 16405039
研究機関北九州市立大学

研究代表者

原口 昭  北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (50271630)

キーワードパイライト / 泥炭 / 褐炭 / 酸性硫酸塩土壌 / 東南アジア / 東部ドイツ / 河川水質 / 植物系化石資源
研究概要

パイライトは、泥炭、褐炭などの植物系化石資源の層間に含まれ、化石資源の採掘などで大気に触れると急速に酸化が進み、生成した硫酸により強酸性の酸性硫酸塩土壌が生ずる。これは、全世界的に発生している土壌環境問題であるが、本研究では、インドネシア中央カリマンタン州(熱帯)およびドイツラウジッツ地方(冷温帯)において共通に見られる陸水環境の硫酸汚染問題の発生機構を、気候帯をまたがった複数地域で比較する研究を行ってきた。
インドネシア中央カリマンタンの熱帯泥炭湿地では、昨年度までの研究より、パイライト由来の硫酸に起因する河川環境の汚染地域の把握と硫酸流出量の季節変動に関する情報が得られているが、今年度は、これらのデータの再現性を確認した。また、地下水(井戸水)への硫酸の流入について調べた結果、土壌浸透水起源の地下水では硫酸濃度が季節を通じて高いことがわかった。地下水質は雨水型、塩水型、硫酸型の3タイプに分類されたが、地域によりこれら3型の分布比が異なり、この違いにより住民の水利用形態が地域ことに異なることが示された。
一方、ドイツ東部ラウジッツ地方の褐炭採掘跡地からの硫酸流出に関しては、本年度は、泥炭地への硫酸流入に関するデータの解析を行った。酸性化した地下水が大気中の酸素に触れることによって二価鉄が酸化されると、そのプロセスでプロトンが消費されてpHが上昇するが、これが還元的な泥炭土壌に触れると鉄の還元で再びプロトンが放出され、陸水の酸性化が進行することが判明した。このことは、熱帯泥炭地域での恒常的な陸水環境の酸性化が泥炭土壌などの還元的環境の存在と大きくかかわっていることを示すものである。
このように、陸水環境の硫酸汚染の化学的プロセスは共通しているものの、環境を還元的にする要因の存在の有無が環境中に拡散したイオウと鉄の挙動に大きく関わっている事が両地域の比較から明らかになった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] Water chemistry of Sebangau River and Kahayan River in Central Kalimantan, Indonesia.2007

    • 著者名/発表者名
      Akira Haraguchi
    • 雑誌名

      TROPICS 16・2(印刷中)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Effect of sulfuric acid discharge on the river water chemistry in peat swamp forests in Central Kalimantan, Indonesia.2007

    • 著者名/発表者名
      Akira Haraguchi
    • 雑誌名

      Limnology 8・2(印刷中)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] The photosynthesis of Sphagnum.2007

    • 著者名/発表者名
      Akira Haraguchi
    • 雑誌名

      Environmental and Metabolic Biochemistry of Plants and Microorganisms. (印刷中)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Factors acidifying peat in Central Kalimantan, Indonesia.2006

    • 著者名/発表者名
      Akira Haraguchi
    • 雑誌名

      TROPICS 15・3

      ページ: 397-401

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] インドネシア共和国中央カリマンタン州におけるハリミズゴケの1変種 Sphagnum cuspsidatum subsp. subrecurvum var. flaccidifolium (A. Johnson) A. Eddyの新産地2006

    • 著者名/発表者名
      浅田太郎
    • 雑誌名

      蘚苔類研究 9・3

      ページ: 87-88

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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