研究概要 |
インドネシアにおける調査 スラバヤにあるAirlangga大学の2人教官とPurwodadi Botanical Gardenの植物学者の協力を得て,東ジャワ島の南東にあるバユンワギーを中心に調査を行い,伝統医療に使用している薬用植物約50種を採取した。特にイジェン山岳地域の村に居住する少数民族のオシン"Osing"族の土着医を訪ね,聞き取り調査し,頻尿に有用な処方例等の情報を得た。また,スラバヤから約1時間の所にあるDayang Sumbi製薬所を訪ね,調査した。工場内には,カリマンタン,イリヤンジャワなどインドネシア各地から収集した薬用植物650種が展示,栽培されていた。また,糖尿病,胃炎,肝臓病薬など48種の伝統薬物を製造する近代的設備をもつ製薬所であった。 日本での研究 膵臓癌治療薬の研究の一環として伝統薬物から栄養飢餓状態で殺細胞作用を有する物質の探索を行い,牛蒡子や独活から活性成分を見い出し報告した。また,記憶・学習に関係することが明らかになっている脳由来神経因子(BDNF)の発現制御作用を有する化合物を沈香から単離,構造決定し報告した。 また,インドネシアとミャンマー産のCaesalpinia cristaから抗マラリア活性成分を単離し,構造決定した。さらに,その構造と活性相関についても論文として報告した。 また,Chrysanthemum sinenseより痛風に有効な活性成分の構造を解析し論文とした。 ミャンマーとベトナムでの伝統医とのインタビューやフィールド調査について,伝統医薬学雑誌のニュースレターとして纏め報文とした。
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