研究課題/領域番号 |
16406009
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
坪井 敬文 愛媛大学, 無細胞生命科学工学研究センター, 教授 (00188616)
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研究分担者 |
竹尾 暁 愛媛大学, 無細胞生命科学工学研究センター, 講師 (40302666)
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キーワード | マラリア / ワクチン / ゲノム / バイオテクノロジー / 蛋白質 / 血清 / 国際研究者交流 / タイ |
研究概要 |
熱帯熱マラリア原虫のゲノム情報から、約5400個の遺伝子のうち200種類あまりが赤血球への侵入型原虫に特異的に発現していると予想されている。一方、現在マラリアワクチン候補抗原として研究がすすめられている原虫タンパク質は30にも満たない。その最大の理由は熱帯熱マラリア原虫の遺伝子をそのまま用いて組換えタンパク質を発現することが非常に困難なためである。申請者らは、これまでにコムギ胚芽無細胞タンパク質合成法により、原虫遺伝子をそのまま用いて組換えタンパク質を効率よく作製する方法を開発し、これによりマラリアワクチン候補タンパク質をゲノムワイドに発現することが可能となった。そこで本研究は、1)以上の新規の手法で作製したワクチン候補タンパク質を効率良くスクリーンニングするため、マラリア流行地の様々な病態を示す患者の血清を幅広く収集し、2)これらの血清の中で、特に原虫感染はあるが症状を示さない無症状感染者の血清に着目して、これらの血清中の抗体によって認識される原虫タンパク質を検索することで、新規の熱帯熱マラリア発病予防ワクチン抗原を同定することを目的に実施した。今年度の実績を下記に列挙する。 1.昨年度及び今年度にクローニングした熱帯熱マラリア原虫メロゾイト特異遺伝子約180種類から、約130種類を組換えタンパク質として発現することに成功した。2.昨年度に引き続き、タイ国内の複数のマラリア流行地の住民および国境地帯にある数カ所のマラリア診療所においてマラリア患者血清の採取を継続し、少数ではあるが本研究に有用な無症状感染者の血清を入手することにも成功した。また、重症患者の多いバンコク市内の病院においても、軽症、重症、及び最も重度の脳性マラリア患者等から血清を入手した。なお、これらの患者血清試料の採取については、愛媛大学医学部ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理委員会にて実施が承認されている。
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