研究課題/領域番号 |
16406015
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
堀田 博 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40116249)
|
研究分担者 |
長野 基子 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90304089)
扇本 真治 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80292853)
|
キーワード | B型肝炎ウイルス / C型肝炎ウイルス / 遺伝子多様性 / 変異株 / 発がんリスク / 原発性肝がん / インドネシア / 日本 |
研究概要 |
インドネシアのB型肝炎ウイルス(HBV)株は、S遺伝子領域塩基配列に基づくgenotype分類法により、解析したすべての株がgenotype Bに分類された。一方、pre-C/C遺伝子領域塩基配列に基づく分類法では、genotype Cに分類された。すなわち、インドネシアのHBV株はgenotype Bとgenotype Cが遺伝子組み換えをおこしたものである可能性が考えられた。S遺伝子領域にコードされるHBs抗原はウイルス株により変異が認められ、原発性肝がん患者由来HBV株では、健常供血者由来HBV株に比べて、変異を有する率が高かったが、慢性肝炎・肝硬変患者由来HBV株と比べて明らかな差異は認めなかった、pre-C/C領域がコードするHBe抗原、HBc抗原のアミノ酸解析でも、同様の傾向がみられた。 一方、C型肝炎ウイルス(HCV)については、インドネシア及び我が国のウイルス株のNS3及びNS5Aの変異と原発性肝がんとの相関について調べた。その結果、まず、NS3アミノ末端領域の二次構造に基づくHCVサブグループ分類により、我が国のHCV株ではサブグループB1-1が肝がん発症と有意に高く相関する事をすでに見ているが、インドネシアにおいては非がん患者由来HCV株でもサブグループB1-1が約60%と多く認められ、肝がん患者由来HCV株との間で有意な差は認められなかった。さらに検体数を増やして比較検討する必要があると思われる。一方、NS5Aの解析においては、我が国の肝がん患者由来HCV株では、非がん患者由来HCV株に比べて、NS5Aのインターフェロン(IFN)感受性決定領域(ISDR)に4ケ所以上の変異を有する割合が有意に高かった。この成績は、肝発がんリスクの高いHCV株はIFN感受性であるものが多い事を示唆しており、IFNによる原発性肝がん発症阻止療法の有効性に根拠を与えるものである。
|