GBウイルス-C(GBV-C)およびTTウイルス(TTV)における予備研究 GBV-C:genotype 3(G3)とgenotype 4(G4)のウイルスの膜蛋白遺伝子の領域をサブクローンし、これをgenotype 2(G2)の感染性分子クローンの膜蛋白遺伝子領域とスイッチしたハイブリッドを作成した。これらの分子クローンはヒト末梢血単核細胞にtransfectionすると感染性があり、これらを用いたGBV-CとHIV-1の共感染実験アッセイではどの分子クローンにもHIV増殖の抑制効果が様々なレベルで認められ、ゲノタイプによって異なる膜蛋白がHIV感染に及ぼす程度に差異があることが推測された。 TTV:日本国内の健康乳幼児における感染率(唾液からのTTV DNA検出率)が1ヵ月児で6%、3-4ヵ月児で34%、3歳半で90%、成人で84%であった。またゲノタイプ別ではG3が最も多く、G1は3歳半以降では2番目に多く、G4は3-4ヵ月では2番目に多かった。乳児発熱症例では同年齢の乳児よりもTTVの検出率が高く、一部の症例の病因である可能性が窺われた。 ラクトフェリンの乳幼児における抗ウイルス作用の予備調査 日本国内の健康乳幼児におけるロタウイルス胃腸炎の予防効果を調査したところ、ラクトフェリン含有食品(一日100mg相当)を摂取すると症状が顕著に軽快することが証明された。 タイ国ランパーン県におけるHIV感染者および非感染配偶者のコホート研究 本コホートにおけるGBV-C感染率は11%で、ゲノタイプ別ではG2が27%、G3が51%、G4が22%であった。GBV-C感染者は非感染者と比べ、統計学的に有意にCD4陽性T細胞数が多く、HIVコピー数が少なく、AIDS症状を認める頻度が低く、生存率が高かった。現在ゲノタイプ別の検討と、非感染配偶者における調査が進行中である。
|