研究概要 |
1.胎盤を介するHIV母子感染機構を解析するために、胎盤でのHIV coreceptor発現を調べ、9種類(C5a receptor、CCR1、CCR7、CCR9、CXCR4、CXCR5、GPR5、GPR12、RDC1)のmRNA発現を認めた。 2.ベトナムで母子感染によりHIVに感染した児29例のサブタイプはすべてCRF01_AEであった。6例にプロテアーゼ阻害薬耐性であるminor mutationが見られた。また、母子感染によるHIV/HBVの重感染は見られず、HCVについては5サンプルが抗体陽性であった。 3.A群ロタウイルスの新しいP genotype P[27]をタイ、チェンマイのブタ検体から発見した。このウイルスのG血清型はブタウイルスのG2株とはhomologyが高く(94.7%)、ヒトG2とは低かった(87.7-88.0%)。 4.タイ、チェンマイのブタの下痢症検体よりまれなA群ロタウイルスG3P[19]株を検出し、この株がヒトロタウイルスP[19]株と類似であることを報告した。 5.中国昆明のウイルス性下痢症患者検体より新しい組換えノロウイルスを発見した。Capsid領域はGII/7、polymerase領域はGII/6に分類された。東ロシアの検体からもORF1/ORF2間での組換えノロウイルスを発見した。 6.バングラデシュの下痢症患者検体の起因ウイルスの検索を行い、初めてノロウイルス、サポウイルスを検出した。 7.ベトナムの下痢症患者検体を用いて、開発中のノロウイルス迅速診断キットの評価を行った。このキットは検出頻度の高いGII/4とGII/3を検出できるmonoclonal抗体を用いたキットでRT-PCR法との比較を行った。感度、特異度、一致率はそれぞれ87.8%,93.3%、89.4%であった。また、このICは最近流行のGII/4 variant検出も可能であった。
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