研究課題/領域番号 |
16406032
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大野 重昭 北海道大学, 大学院医学研究科, 教授 (50002382)
|
研究分担者 |
田川 義継 北海道大学, 大学院医学研究科, 助教授 (40109426)
吉田 和彦 北海道大学, 北海道大学病院, 講師 (90281807)
南場 研一 北海道大学, 大学院医学研究科, 助手 (70333599)
水木 信久 横浜市立大学, 医学部, 教授 (90336579)
猪子 秀俊 東海大学, 医学部, 教授 (10101932)
|
キーワード | 難治性内眼炎 / ぶどう膜炎 / マイクロサテライト / アデノウイルス / 国際サーペイランス |
研究概要 |
日本人ベーチェット病、原田病、サルコイドーシスに対してこれまでの研究で疑われる遺伝子に関して疾患感受性の有無を検討した。(1)日本人ベーチェット病でメラノコルチン5レセプターの遺伝子directse quenceを行い5つの一塩基多型(SNP)を検討したが、有意な結果は得られなかった。(2)日本人原田病でHLA-DRタイピングとチロシナーゼ(TYR)、チロシナーゼ関連蛋白1(TYRP1)、チロシナーゼ関連蛋白2(TYRP2)のマイクロサテライトマーカーを検討した。その結果、HLA-DRB1*0405が有意に原田病患者に多く見られたが(pc=0.000000079)、TYR, TYRP1,TYRP2のマイクロサテライトマーカーでは有意差はなかった。(3)日本人原田病でIFN-γ遺伝子のマイクロサテライトマーカーを検討した。その結果、皮膚症状が存在する原田病では有意に原田病患者に多く見られるアリルを見出すことができた。(4)日本人サルコイドーシスでmacrophage immigration factor(MIF)に存在する一塩基多型について検討したが、有意差はなかった。 韓国人のベーチェット病患者110例、健常対照人111例に対してHLA-Btypingを行った。他の民族での報告と同様にHLA-B51が有意にベーチェット病患者において多く見られた(p=0.0006、pc=0.014)。 韓国人のベーチェット病患者110例、健常対照人111例に対してHLA-Btypingを行った。他の民族での報告と同様にHLA-B51が有意にベーチェット病患者において多く見られた(p=0.0006、pc=0.014)。 ヒトアデノウイルス(HAdV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)は流行性結膜炎や樹枝状角膜炎の代表的な原因ウイルスであり、その流行の本態、原因などはいまだ詳細が不明で、結膜炎や角膜炎、内眼炎を起こす血清型についてはウイルス自体の性状すら不明なことが多い。 近年の変異株の台頭によって制限酵素切断パターンによるPCR-RFLP法の限界が明らかとなったため、我々は新たなHAdV迅速同定法としてPCR法で特定領域を増幅後、その全塩基配列を解読し系統解析を行うPCR-PhylogeneticAnalysisを開発し、応用してきている。 これまで各国の流行状態にっいて調査してきたところ、HAdVに関しては中東、東南アジア地域では以前と同じくHAdV-8が主体であったが、イギリスのある地方ではHAdV-4、本邦ではHAdV-37が主体であった。これらのウイルス株の塩基配列はすべて標準株とは異なっており、ウイルスDNAの変異が進んでいることが明らかとなった。また、本邦におけるウイルス株の調査においても、数年おきに新たな変異株が出現していることも明らかとなり、ごく最近では2000年以降流行していた37型から8型へと流行の主体がシフトしてきている。 これらの変異と流行との関連においてウイルスDNAのうちヘキソン領域の変異がよく相関していることが明らかとなっており、今後さらなる調査と臨床症状との関連性について確認していく予定である。
|