研究課題/領域番号 |
16500003
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
小林 邦勝 山形大学, 工学部, 教授 (40007191)
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研究分担者 |
早田 孝博 山形大学, 工学部, 助手 (50312757)
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キーワード | 代数体 / 虚2次体 / 実2次体 / 公開鍵暗号 / 素因数分解アルゴリズム / 離散対数アルゴリズム / RSA暗号 / ElGamal暗号 |
研究概要 |
本年度は、代数体上におけるRSA暗号やElGamal暗号の安全性を評価する場合の基礎となる、問題の解を求めるのに要する計算量の評価を主な目的として、素因数分解アルゴリズムの高速化と離散対数アルゴリズムの高速化について研究を行った。 1.素因数分解アルゴリズムの高速化に関しては、主に、床関数を用いた素因数分解アルゴリズムの計算量について検討を行った。現時点では、数体ふるい法が最も高速な素因数分解法であるが、この方法はある素数以下の素数のみで表されるv-smoothな値を必要な数だけ集め、これらを用いて平方数を作るものである。これに対して、本研究では、v-smoothな値には無関係に、床関数を用いて直接、平方数を求める方法について研究を行った。本方法の計算量はまだ分かっていないが、引続き床関数を用いた素因数分解アルゴリズムの計算量の評価を行う予定である。 2.離散対数アルゴリズムの高速化に関しては、効率的な方法がないと見なされている楕円曲線上の離散対数アルゴリズムの高速化について検討を行った。現時点では、楕円曲線上に定義された離散対数問題には因子基底(Factor Base)を定めることが出来ないため、指数計算法の適用が困難であると見なされている。これに対して、本研究では、楕円曲線上の任意の有理点を因子基底の要素とし、これらの有理点を用いて離散対数を求める指数計算法に類似したアルゴリズムと因子基底の選択について研究を行った。このアルゴリズムの計算量はまだ分かっていないが、任意の有理点を因子基底として選んでも、楕円曲線上でも指数計算法に類似の計算は可能であると考えている。今後は、このアルゴリズムの計算量の評価を行う予定である。
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