本年度の研究によって得られた成果 1.Tree-lengthとBranch-lengthの関係 Tree-lengthとはtree-widthと呼ばれる良く知られたグラフパラメータと関係するグラフパラメータで、グラフのchordalityやspannerと関係することが知られている。Tree-lengthとtree-widthはともにtree-decompositionと呼ばれるグラフの構造に着目することで定義されるパラメータである。一方tree-widthと深く関係するbranch-widthと呼ばれるパラメータが存在し、branch-decompositionと呼ばれるグラフの構造に着目することで定義される。本研究ではbranch-decompositionに着目し、branch-lengthと呼ぶグラフパラメータを提案し、branch-lengthとtree-lengthが本質的に等しいことを示した。Tree-lengthには3倍近似多項式時間アルゴリズムが既に知られており、2倍近似アルゴリズムの存在が予想されている。Tree-decompositionのみならずbranch-decompositionにも着目することで、2倍近似アルゴリズムの設計に対し本研究結果の応用が期待できる。 2.完全2分木に対するpath-distance-widthの下界 Path-distance-widthはbandwidthと呼ばれる良く知られたグラフパラメータと深く関係するグラフパラメータで、完全2分木に対するpath-distance-widthの値は未解決問題となっている。本研究では完全2分木に対するpath-distance-widthの下界を与えた。
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