研究概要 |
本プロジェクトでは、我々は主に以下に示すの3つの近似アルゴリズムの実装および評価を行い,以下の結論を得た: ・U.Feigeにより発案されたvolume respecting embeddings(VRE)法を用いた,バンド幅縮小化問題に対する近似アルゴリズムを実装し,その実験的評価を行った.その結果,一般的なグラフに関してはVRE法はGPSアルゴリズム(Cuthill-Mckee法)より劣るが、伸長完全二部グラフなどのいくつかの特別なグラフクラスに対しては、VRE法の方がかなり良い結果を出力した. ・幾つかのマトロイド被覆問題に対し,我々が提案した近似および発見的アルゴリズムを実装した.cographicマトロイドに関しては,我々の提案したアルゴリズムは自然な貪欲アルゴリズムとほぼ同程度かそれより若干良い精度を実現している。しかしながら,graphicとtransversalマトロイド被覆問題に関しては,解の精度の点で我々のアルゴリズムは貪欲アルゴリズムよりも劣っている。しかし我々のアルゴリズムは,厳密アルゴリズムと比べ,実装が容易と言える. ・入力グラフをd-claw freeグラフに制限した重み付最大独立点集合問題に対して,幾つかの貪欲アルゴリズムおよびV.Bafna等によるSizeTwoImp, B.Chandrat等によるBestImp, P.BermanによるSquareImpを実装し評価を行った.実験により、SizeTwoImp, BestImp,およびSquareImpが妥当な時間で貪欲アルゴリズムより良い解を出力することが確認できた。 本研究による副産物として幾つかの理論上の結果も得られた:"vertex boundary-width"と"path distance-width"と呼ばれるグラフパラメータに対する下界を得た.vertex boundary-widthは常にバンド幅の下界を与え,path distance-widthはバンド幅に深く関連するグラフパラメータである.さらに我々は単位格子交差グラフ,k-chordalグラフに対する最長誘導パスやtree-lengthに関する理論上の結果も得た.これらの結果は間接的に本研究プロジェクトに関係している.
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