研究概要 |
本年度は,トレース視覚化ツールの充実を中心として,以下のような研究を行なった. 1.XMLに関する調査 XMLでのトレース表現に関する調査を続行した.本年度は特に,変数のアイデンティティに関する検討を行ない,変数名だけで判別するという従来の方式から,変数の所属するスタックフレームやオブジェクトも考慮したアイデンティティを採用することとした. 2.トレース視覚化ツール 前項の変数アイデンティティの導入によって,実行トレース中での変数の値の変化を把握することが可能となった.これによって,ある変数の値の変化履歴を表示し,さらにそのなかの特定の時点への移動が可能になった.これは変数を手がかりとしたプログラム理解やデバッギングに有用である. 3.デバッガとの連動 トレース視覚化システムの現在注目時点に、別のウィンドウで動作しているデバッガの実行位置をあわせる仕組みを実装し,トレースベースとデバッガの長所を組み合わせるようなデバッグ環境を試作した. 4.国際会議での成果発表 コンピュータ教育に関する国際会議で,トレース視覚化システムについて発表を行なった. 5.システムの試験的な公開 Java言語を対象として,トレース生成システムとトレース視覚化システムのソースコードをインターネットに公開した. 6.評価実験の実施 大学3年生を対象として,プログラミングの授業の一部で,Pascal言語での利用実験を行なった.
|