1.XMLによるトレース表現 前年度までの調査にもとづき、トレースの表現方式について、(1)関数呼び出しのネストを反映しないフラットな表現、(2)関数呼び出し構造をXMLの構造に反映する表現、の二つの方式を実装した。前者はマルチスレッドプログラミングでの同時並行的なトレースに適している一方、後者はプログラム実行の構造を後処理の必要なく表現できるという利点がある。これらは利用状況に応じて使い分けるべきだとの結論を得た。 2.トレース視覚化ツール 同名の別変数を識別することにより、変数の値の履歴を追跡することができる。さらに、Java言語に特化した機能として、オブジェクトを識別してその履歴によるトレースのアクセスを可能とした。これらを総合して、近年Javaプログラミングにおける事実上の標準となっている統合開発環境のEclipseにトレース視覚化ツールを組み込みことに成功した。これによって、さらに広い範囲の利用者が期待できる。 3.利用経験の蓄積 申請者が携わっているほかの研究プロジェクトにおけるプログラミングにも本システムを適用し、利用経験の蓄積を行った。対象としては、ペン入力による対話的システム、P2Pファイル共有の分散プログラム、ウェブの閲覧履歴の解析によるページ推薦システムなどがある。 4.システムの公開 昨年度に引き続き、トレース生成システムとトレース視覚化システムのソースコードのインターネットにおける公開を行った。
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