研究概要 |
本研究では,UML(Unified Modeling Language)ベースの拡張可能なドメイン専用言語(Extensible Domain Specific Language)を開発している.ドメイン専用言語とはアプリケーションやシステム機能の特性に合わせた専用の開発言語であり,これを利用することによりソフトウェア開発の生産性を飛躍的に向上させることができる. 前年度は,拡張可能なドメイン言語実現のためのファーストステップとして,アスペクト指向に基づいたモデルコンパイラの構築技法を考案した.また,このための道具として,アスペクトを記述するためのモデリング言語AspectM(Aspect for modeling)をUMLのメタモデルを拡張することにより実装した.上流の分析・設計モデルとアスペクトをモデルコンパイラを用いて合成するととにより,下流の設計モデルが生成される.モデル作成者は,モデリングの一環としてアスペクトを定義することにより,ドメインの特性に合った形にモデルコンパイラの機能を拡張できる. 本年度は,前年度の成果を発展させ,モデリング言語であるAspectMそのものをドメインに合わせて拡張する方式について研究した.具体的には,1)拡張可能なモデルエディタ(AspectMのベースモデルとメタモデルが編集可能なモデルエディタ)の実現方式,2)拡張可能なアスペクト指向メカニズムの実現方式,を考案した.前者により,ドメインに特化したモデリング要素の導入が可能となる.また,後者により,導入したモデリング要素をどのようにアスペクト指向メカニズムの中で利用するかを指定できる.現在,プロトタイプを開発している段階である.最終年度(18年度)では,プロトタイプを用いて,今回考案した方式が実際のドメイン専用言語構築に有効であるかを評価する予定である. 本年度は,研究成果を世界に向けて発信することに留意し,計3回,国際会議または国際ワークショップにて発表した.特に,ドメイン専用言語や生成的プログラミングの分野で先導的な国際会議ACM SIGPLAN International Conference on Generative Programming and Component Engineering(GPCE2005)に,我々の論文が採択されたのは特筆すべき成果と言ってよい.
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