研究概要 |
今年度は3論文を発表した。 (1)H.Masuyama, K.Murakami, and T.Sasama, "Algorithms for Energy-Efficient Broad- and Multi-Casting in Wireless Networks," 4-th ICN' 05,2005: 本論文は、ワイヤレス通信上での新たな経路探索アルゴリズムとして、けちけち法によるブロードキャスティング・アルゴリズムを提案し、けちけち法、欲張り法、ダイクストラ法によるアルゴリズムの性能を放送コストと計算時間の点で評価し、それぞれのアルゴリズムに適したネットワークの形状について検討している。さらに、マルチキャスティングについても検討を加えている。その結果、けちけち法とダイクストラ法の間に、上記の2指標に関してトレードオフの関係があることを明らかにしている。 (2)T.Tajimi, T.Sasama, and H.Masuyama, "Multicasting and All-to-All Personalized Communication Algorithms in Optical Interconnection Networks," Proceedings of 3^<rd> IASTED Int.Conf.Communications and Computer Networks," Oct.2005: 本論文は、光通信用多段相互結合網でのマルチ・キャスティング及び全対全通信アルゴリズムについて検討している。本来、多段相互結合網におけるアルゴリズムの評価では,ルート計算時間と実際の光の通過時間の総和が小さいことが望ましい。マルチ・キャスティングについて提案するアルゴリズムは、欲張り法に基づくもので、ルート計算時間が極めて小さく、光の通過時間は大きいという特徴を持ち、従来の方法より時間の総和が比較的小さいことを明らかにした。さらに、全対全通信アルゴリズムに関して、オメガ網とベネス網での所要サイクル数の上限を明らかにしている。 (3)H.Masuyama, Y.Fukudome, and T.Ichimori, "One-to-All and All-to-All Broadcasting Algorithms in Cellular Networks," Proceedings of ICETE 2005, Oct.2005: 本論文は,セルラー・ネットワークにおけるブロードキャスティングに関して、各放送ノードに固有の放送木を設定するのでなく、全てのノードに共通の放送木を予め準備する場合の問題点について検討している。最適な放送木とは最小の直径を持つ全域木であることに着目して一対全通信アルゴリズムを構築した。さらに、枝の総数が最小になる一対全通信木の集合を全対全通信に用いることを提案している。耐故障放送アルゴリズムも提案している。
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