研究概要 |
今年度は4論文を発表した。 (1) H.Masuyama and K.Watanabe, "New Non-Adaptive Distributed System-Level Diagnosis Methods for Computer Networks" e-Business and Telecommunication Networks, Springer, pp.117-124, 2006. 本論文は、本研究代表者が提案している新しいコンピュータ・ネットワークの診断法について、理論的シミュレーションにより、その有効性を発表したものである。本法の着眼点は、ハイパキューブの持つ指数関数的性質を診断手順に採用して、故障診断時間を理想的なまでの準最小にする方法を検討したものである。各種の拡張方法を検討し、故障診断時間、平均移動パケット数、統計的故障分布の下での有効性などの点から特に有効な方法を提案している。さらに、他のアルゴリズムとのDiagnosis Latencyの比較結果について明らかにしている。 (2) H.Masuyama, T.Sasama, and Y.Nimiya, "A Conference Network for Group Communications Based on Multistage Interconnected Networks" Procedings of 2006 IEEE International Conference on Networks, pp.130-136. 本論文は、コンピュータ・ネットワーク上でグループを構成し、互いに通信するカンファランスのサーバの構成方法について検討したものである。サーバはハードウエア・コストと通信処理速度が出来るだけ小さいことが望ましい。一本論文は、多段スイッチング・ネットワークでサーバを構成する場合の性能について明らかにしている。 (3) H.Masuyama and Y.Fukudome, "New Optimal Channel Assignment for Hierarchical Cellular Networks," CD ROM Proceedings of International Conference on Digital Telecommunications, 2006. 本論文は、セルラー・ネットワーク上でブロードキャストする際の経路決定問題について検討している。本論文は、経路決定において、各ソースに特定の放送木を準備するのでなく、各ソース共通の放送木を準備することにして、その為の最低放送木として直径最小の全域木を提案している。次に、放送時の接続率を高くすることも重要で、ラジオ・チャネルを効率よく割り当てる方法として、repacking技術を応用したチャネル割り当て方法についても検討している。階層型のネットワークでのマクロとマイクロのチャネルの最適割り当てについて議論している。 (4) H.Masuyama, T.Ichimori, and T.Sasama, "On Ability of Orthogonal Genetic Algorithms for The Mixed Chinese Postman Problem" Proceedings of First International Conference on Software and Data Technologies, pp.39-45, 2006. 本論文は、問題の規模に対して指数関数的に計算時間のかかるNP完全問題であるチャイニーズ・ポストマンを扱ったものである。NP完全に属する有向、無向エッジの混在したグラフのチャイニーズ・ポストマン問題に、直交型交叉遺伝アルゴリズムの手法を適用し、その有効性について検討したものである。
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