研究概要 |
1.遅延観測プログラムの実装と評価 本項目では,2種類の遅延時間の定義と観測プログラムの実装・評価を行った.ホスト遅延はOSがパケットを通信デバイスドライバから受信し,アプリケーションで複製した上でデバイスドライバに送信するまでの時間とした.リンク遅延は送信ホストのデバイスドライバがパケット送信後,受信ホストのOSが受信するまでの時間とした.OSにLinux,通信デバイスにRealTek社8139を対象にプログラムを実装し,観測結果,ホスト遅延=(A×複製数+B)×レート,リンク遅延=C×レート+D(複製数に無関係)となることがわかった.また,リンク遅延がホスト遅延の数100倍であった. 2.マルチキャスト経路木アルゴリズムCT+法の提案 本項目では,ホストでパケット複製を行うアプリケーションレベルマルチキャスト通信の代表的アルゴリズムCT法の改良であるCT+法を提案した.解構築段階のみのCT法に,ランダムに選んだ経路木の1辺をそれ以外の辺の中で次数制約を充たし評価関数を最小とする辺に必ず置き換えることで,局所解に陥ることを防止する状態遷移法を追加した. 3.マルチホームシミュレーション環境MINETの構築 本項目では,CT+法評価のためにマルチISP環境のネットワークシミュレーションモデルMINETを構築した.トポロジは,Waxman法による複数ISPとISP間接続完全グラフで構成される.各リンクの遅延時間は,信号伝搬遅延,パケットスイッチング遅延,出力バッファ滞留時間の和で与えられる.負荷は,M/M/1待ち行列モデルに従って与えている. 4.パノラマ画像生成アルゴリズムの提案 本項目では,通信アプリケーションとしての複数カメラからのパノラマ画像生成アルゴリズムを提案した.概略校正,詳細校正の2段階で座標変換・色濃度変換を行い,各パラメータ値を最適化手法で算出することで,高精度なパノラマ画像生成を実現した.
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