研究概要 |
縮退故障に対するテストパターンをブリッジ故障検出能力の高いテストパターンに変更するテスト生成手法の研究を行った.昨年度まで成果であったANDブリッジ,ORブリッジ故障に加え,4方向ブリッジ故障も対象にすることで,より欠陥検出力の高いテストパターンの生成を目標にした.これらの成果をまとめ,電子情報通信学会英文論文誌に投稿した.また,DSM技術の進歩により重要性が増している遅延故障テストに関連して,各故障を複数回検出するN回検出テストパターンについての研究を行った.N回検出用テストパターンで行う遷移遅延テストは,テストパターン数が増加するため,テストコストの増加が問題となる.その解決策として,本研究では,遷移遅延故障用N回検出テストパターンのドントケア判定を行う手法を提案し,ベンチマーク回路により有効性を示した. また,縮退故障以外の論理故障を扱うことのできるPer-Test故障診断手法についても研究を行った.(1)ビアを考慮した拡張X故障モデル,(2)閾値電圧の順序関係を考慮した論理値組合せ発生確率を考慮した故障診断手法を実装し.実験によって提案手法の有効性を示した. さらに,テスト生成や故障診断の処理性能を高めることを目的に,論理回路の故障シミュレーションの高速化手法について研究を行った.開発した手法では,ファンアウトフリー部分回路の出力を計算する論理式をプログラムの関数として記述し、シミュレーション時の論理値の計算にはあらかじめ記述した関数を用い、ファンアウトフリー部分回路の出力値をコンパイル方式により導出した.実験では,提案手法により故障シミュレーション時間を従来より50〜60%削減できることが確認出来た.この成果は,9月に開催された国際会議で発表した.
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