研究概要 |
情報システムは、これまでのクライアントサーバモデルから対等な(peer)立場の複数のコンピュータが相互接続された対等分散(P2P : peer-to-peer)モデルに変化してきている。P2Pシステムでは、パソコンを中心とした数千〜数十万のコンピュータがインターネット等の高速ネットワークで相互接続された大規模システムであり、データとプログラムがどのコンピュータにも配置できるpeer-to-peer(P2P)システムである。こうしたシステムを構成、管理していくためには、従来からの集中型による管理は困難であり、各コンピュータが自律的に処理、管理を行っていく分散型の新しい構成論、制御方式、管理方式、信頼性、性能等の評価基準等が必要となってきている。本研究では、多数の対等な(peer)コンピュータ間で協調動作を行うために、自律的コンピュータから構成される副グループが互いに協調動作を行う分散型方式を考え、さらに最適性、信頼性、可用性、障害、性能等の概念の再検討を行った。特に、これらを各コンピュータが提供するサービスの品質(QoS)として体系化を行った。本年度は、第一年度(平成16年度)に設計した通信プロトコルを用いて自律的なグループコンピューティングを実現するためのアプリケーションの設計を行った。P2Pシステム上のデータベースオブジェクトを操作するアプリケーションをモバイルエージェントにより実現した。このために、モバイルエージェントを用いたトランザクション処理、耐障害システムの実現方法の研究を行った。設計したアプリケーションを使用し、インターネットを用いた広域ネットワーク環境での実証実験を行った。また、研究成果をIEEE AINA, IEEE ICPADS, IEEE ICDCS, DEXA等の多くの国際会議で発表するとともに、情報処理学会の研究会、ワークショップでも研究成果の発表を行った。さらに、IJHPCN, JOIN等の国際学術論文誌に論文として発表した。
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