研究概要 |
○知識獲得および質問応答のための技術開発 知識源としてヘルプ文書だけではなく、それ以外の知識を獲得するために、Web上の知識を収集・保存し、自然言語文による質問に対して回答できるメカニズムを提案し、システムの実装を行った[河野、小林2005]。また、ユーザからの柔軟な質問文に対して、適切な回答を検索できるようにするため、ユーザのさまざまな質問文の表現を検索キーワードに結びつけるための換言辞書を提案した[松原、小林2005]。 ○アプリケーションとの連携 ユーザの自然言語発話による要求に対して、アプリケーションソフトウェアを操作するプロトタイプシステムの構築を行った[KOBAYASHI et al.2005]。このプロトタイプシステムにおいては、対象とするアプリケーションソフトウェアはMS Outlookのみであったが、平成17、18年度には対象とするアプリケーションソフトウェアをMS Outlook, MS Word, MS Excelの3つのアプリケーションソフトウェアに拡張し、それぞれを競合しないように、同時に操作できるシステムとして開発を行った[大西、小林2006;Onishi et al.2006a;Onishi et al.2006b]。ユーザの言語指示に対して、操作対象となるアプリケーションソフトウェアの競合を避ける知識として、マニュアルから得られた知識を分析し[Iwashita et al.2006]、オントロジーを作り、それを利用してシステムは言語指示を適切に解釈し、稼動することに成功した。 ○エンドユーザへの柔軟な情報提示メカニズムの提案 エンドユーザに対して、テーラーメイドなヘルプ情報を提供するメカニズムを開発するため、ユーザの着目する視点に応じて情報の詳細度を変化するメカニズムの提案および開発を行った[Watanabe et al.2006]。また、柔軟な回答文を生成するテキスト生成技術の開発を行った[Kobayashi et al.2005]。 ○被験者実験に基づくユーザモデル設定 アプリケーションソフトウェアを操作する際のユーザの行動パターンを取得するための被験者実験を行い、実験結果に基づき、各ユーザに対して、適切なタイミング、かつ、適切な内容のヘルプ文書を操作の履歴に基づき提供するためのモデルを提案した[KOBAYASHI2005]。また、別の実験として、柔軟な情報提示メカニズムの性能を評価するために20代女性10人を対象にし、システムが出力した結果と人間が出力した結果の比較を行った。実験結果として、人間の出力とほぼ変わらぬ精度でシステムは情報提示を行えていることが判明した[Watanabe et al.2006]。
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