研究概要 |
本研究では,TwinVQで圧縮された楽曲データを対象とした楽曲データマネージメントシステムのプロトタイプの構築を行いその評価を行う.本年度の目標は,1)TwinVQ圧縮ドメインで楽曲構造の分析が可能であるかどうかを確認する,2)検索に用いる距離を換えても検索漏れを生じず検索が可能な索引空間を構築する,ことであった. 目的1)に対して,我々はTwinVQ圧縮過程で算出される自己相関係数列に対して平成16年度に開発した節長抽出アルゴリズムを適用し,算出された節長を基礎に楽曲を音楽的に意味のある小節や段に分割する楽曲分割アルゴリズムを開発した.さらに,楽曲分割アルゴリズムを適用して楽曲を区間に分割し得られた区間情報を基に、楽曲中の区間と区間の類似性を用いて楽曲の大きな繰り返しパターンを抽出することにより楽曲の構造分析を試みた.実際に41曲の楽曲に対して楽曲構造分析を行ったところ,ほぼすべての楽曲で楽曲の大きな繰り返しである1番2番の構造を抽出できた.また、俗にいう"Aメロ""Bメロ""さび"の区間抽出に関しても有効であることがわかった. 目的2)に対して,Lp距離で構築された索引構造に対して,任意のLp距離によるε近傍検索を可能とするための距離変換規則を提案した.さらに,1つの索引構造だけで任意のLp距離関数による検索を可能とする索引構造mm-GNAT(multi-modality support Geometric Near-neighbor Access Tree)を提案した.提案した2つの方法が,任意のLp距離関数による検索で検索漏れが生じないことを示した後,実際に楽曲データと人工データを用いた評価実験を行い検索漏れ生じないことを確認した.さらに,性能評価を行い、その有効性を確認した.
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