研究概要 |
2次元・3次元図形情報の普及と蓄積に伴い,その利用を意図した形状の検索や分類といった技術が注目されてきている.形状デザイン時の再利用,形状特徴を利用した形状分類,類似品に対するプロセスプランの抽出,形状認識等を行うための基礎として,今年度の研究では,主に(1)細分割法を利用した凸曲面の比較法と(2)立体の形状特徴ベースの比較法について考察を行った. 凸曲面の比較法の基本的な考え方は,曲線形状の比較の場合と同様であり,比較する曲面群の位置・姿勢を合わせるために固有座標系を設定し,制御点列のマッチングを行い,対応する点位置のずれ量をもとに類似度を計算するというものである.類似判定実験を通じて,初期制御立体に対して1回または2回細分割を行った立体の類似度を参照することで,曲面の類似性を概ね判定できることを示した. 形状特徴ベースの比較については,立体モデルより形状特徴を抽出し,関連付けされた特徴の集まりとしての部分形状の比較を行い,部分的に類似しているものを識別する方法を考案した.具体的には,点ベースデータ構造で記述された立体より,単一の機能と意味を有する12種類の基本形状特徴をパターンマッチング手法によって抽出した.これらの基本形状特徴間の空間的な関連性を依存関係グラフで表現し,そのグラフの部分マッチングを行い,部分形状の類似度を計算する方法を示した.種々の立体の比較実験を通じて,本手法は形状特徴に注目した部分形状比較の一方法として有効であることがわかった.本手法を利用すれば,任意の部分グラフの問い合わせによる類似検索や部分形状の類似性からみた立体群の仕分けが可能である.
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