研究概要 |
本研究は,(1)曲線形状の類似比較,(2)曲面形状の類似比較,(3)特徴部分に基づく3次元立体の類似比較,および(4)類似検索システムの構築,という4つの内容から構成されている. 1.制御多角形とその細分割多角形を利用して,曲線形状の類似度を簡便で効率よく定量化する方法を提案している,基本的な考え方は,比較曲線群の位置・姿勢を合わせるために固有座標系を設定し,制御点列のマッチングを行い,対応する点位置のずれ量をもとに類似度を計算するというものである.比較実験より,初期制御多角形の位置情報から大まかな類似判定が行えること,1回細分割多角形を用いれば曲線形状の類似度を十分に説明できること,凹凸部分の特徴に注目すれば部分形状の類似性を評価できることを示している. 2.制御多面体とその細分割立体を利用して,曲面形状の類似度を定量化する方法を提案している,基本的な考え方は,曲線形状の比較の場合と同様であり,制御点列のマッチング手法に基づくものとなっている.比較実験を通じて,初期制御立体に対して1回または2回細分割を行った立体の類似度を参照することで,曲面の類似性をおおむね判定できることを示している. 3.立体の形状特徴ベースの比較方法を提案している.まず,立体を構造的に理解するため,形状特徴をパターンマッチング手法によって抽出し,その一連の形状特徴問の依存関係グラフを生成する.次に,依存関係グラフを比較して共通の部分グラフを検出し,全体的な構造類似度を定める.立体が構造的に類似している場合は,対応する特徴部分の形状類似度を計算する.このように構造類似度と形状類似度を用いて,類似比較を段階的に詳細化していく方法を考察している.比較実験を通じて,本手法の有効性を示している. 4.上記の考え方に基づいて,立体モデルの類似検索システムを試作している.
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