研究概要 |
本年度は,(1)動画クリップからの因子得点の推定の検討,ならびに,(2)個人適応のための学習負荷軽減法についての検討を行った. (1)は,感性に基づく多種メディアデータの相互検索システムにおいて任意のマルチメディアデータの利用を可能にすることを目的とするものである.MPEG動画から求めた特徴量に基づき,重回帰分析を使用して因子得点の推定式を求めた.動画クリップに対しても,画像や音クリップと同様に,特徴量の交互作用を考慮することで重回帰分析の推定精度が向上できることを実験的に示した. (2)は,個人適応を利用者になるべく負荷をかけずに実現することを目的としている.ここでは,画像を対象として検討を行い,グループ化による方法を考案した.この方法は,まず,クラスター分析により画像をグループ分けし,さらに,画像グループごとに再度クラスター分析することによって個人をグループ分けし,また,画像グループごとに学習用画像と学習に使用する感性語対を決め,学習によってその感性語対に与えられた評点をもとに評価者グループを選出し,学習者の評点をその評価者グループの代表値とする方法である.ここでは,全画像を一つの画像グループとして学習させる1属性学習と,グループ分けされた画像グループに基づく多属性学習を考えた.評価の結果,全画像に対して全印象語対を使用した方法と比較して,学習時間は劇的に軽減され,また,平均プロファイルを利用した場合と比較して個人の感性に近い検索結果を提示できていることを明らかにした.また,1属性学習と多属性学習では,1属性学習の方が評価結果は良好であった.
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