研究課題
基盤研究(C)
本研究では疲れの少ないHMDの実現を目指して、視差画像を従来の両眼視差方式の立体ディスプレイと同様に左右別々の画像によって与え、かつ左右それぞれの画像に対し、奥行き融合を生じさせた場合の立体知覚について研究を行った。今期間中は本研究の第1ステップとして、主として以下の点を明らかにすることを目的とした。1)右限、左1恨にそれぞれ独立に重畳パタンを提示したときに奥行き融合が生じることを確認する、2)両眼視差融合と奥行き融合を同時に生じさせた場合、奥行き知覚に対し支配的に作用する要因を明らかにする、3)片眼ずつ独立に重畳して立体像が知覚される視覚モデルを構築する。主観評価およびローパスフィルタモデルのシミュレーションの結果から、以下のことを明らかにした。(1)観察距離に比べて前後の原パタンの間隔が10%程度以下と狭い場合は、前後の原パタンは融合して一つのパタンとして見える。しかし、原パタンの間隔が10%程度以上では前後のパタンは融合しない。(2)上記(1)の融合像の奥行き知覚位置は前後の原パタンの奥行き知覚位置と輝度比に依存する。(3)上記(2)の融合像の奥行き知覚位置はDFDディスプレイの奥行き融合の説明に用いられているローパスフィルタモデルにより説明できる。(4)上記(1)で述べた前後パタンが融合しない場合、前後のパタンの奥行き知覚位置は原パタンの知覚位置と異なる。これは、両眼での対応点マッチングにおいて、誤った組合せのマッチングを行うことによる。今後は、眼の調節位置を明らかにするとともに、本3次元ディスプレイでは眼精疲労が軽減されるかを明らかにしていく。
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