研究概要 |
自律型エージェントからなるチームへの適切かつ適時なタスク委任を支援するため,特にマルチ・ロボット競技を具体的対象として,エージェントが担う"機能"の状態を階層的に表示したヒューマン・エージェント・インタフェース設計理論の有効性評価を行った. 1.機能状態表示インタフェースの設計と構築 チームの2大基本タスクとして"守備"および"攻撃"を定義した上で,各タスクの目標,各ロボットが担う機能,ロボットの情報獲得に関する制約,移動における制約,環境の物理的制約等を明確にした.これらに基づき,階層的目的-手段記述空間を用いることで,3層からなる機能階層構造モデルを構築した. 次に,機能構造モデルを直接的・直感的に知覚可能とする表現フォームを策定したが,このとき,先に構築したインタフェース評価用認知シミュレーションを用いることでパフォーマンスと心理的負荷等を推定することで,構築前の設計段階での評価を行った. 設計した機能状態表示エコロジカル・インタフェースをPC上に実装し,自律型移動エージェントチーム競技シミュレーションとリンクすることで,認知的評価用の環境を構築した. 2.認知実験による機能状態表示インタフェースの評価 提案インタフェースの有効性・限界を同定するために,機能表示のないインタフェースとの比較評価実験により,パフォーマンスや心理的負荷,状況認識等の各評価基準による評価を実施した. その結果,提案インタフェースの基本的な有効性を確認するとともに,オペレータごとに多様かつ互いに異なる戦略を用いていること,リアルタイム制御のような時間制約が厳しい状況ではその差が大きいこと,さらに単一デザインのインタフェースでは提示情報の必要十分性に問題があることを明らかとした.これより,より有用性を高めるためには,戦略の多様性と個人差への対応が不可欠であり,各戦略に応じた情報提供が必要であるとの知見を得た.
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