研究概要 |
本研究課題の大目標である「webを介して形成される情報社会の秩序を維持する機構の解明」に向けて3年間の成果は以下のとおりである. 1)情報の信頼性をコンテンツから判断するために,代表的な統計的機械学習アルゴリズムを用いてWebコンテンツ記述意味を抽出・分類する実験を行ない,既存技術の利用可能性を考察した. 2)次に,情報の利用者側モデルとしてPat Lanley (スタンフォード大学計算機言語研究所教授)ら開発の認知アーキテクチャICARUSをベースとしたエージェントモデルを提案した.エージェントは必要な情報を認識し,信頼性の可否を推論するための機構として記号処理推論エンジンと,信頼性評価を数値化して学習する機能を備えている.記号を用いた推論エンジンは,利用者が情報の信頼性を判断する過程を明らかにし,数値処理による重み学習によって,利用者自身が無意識に行っている信頼性評価を再現することができる. 3)2)の利用者モデルを用いた利用者エージェントネットワークにおいて信頼関係にある部分ネットワークをコミュニティとし,これをリンク解析手法によって抽出評価するための提案を行った. 4)マルチエージェント系のRoboCup Soccerのサブタスクを用いて,エージェントの感覚入力の設定,エージェントの効用(自らにとって何を価値のあるものと評価するか)を定義し,エージェント間が協力するためのインセンティブ設計法の影響を実験的に考察した.
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