研究概要 |
新たな経済・社会・文化モデルを示すものとして,数万人以上が同時参加してひとつの仮想世界を形成する,オンラインゲームが注目を浴びつつある.仮想世界で暮らすことが楽しみである以上,ゲームに対する執着心が高まるため,ゲームを運営する側にとって,もっとも重要なのが仮想世界内の建設的な活動を促進することである.そのため,ゲーム内外のユーザ動向を把握する必要がある. ユーザ動向の把握において,プレイや移動のパターンを対象とした行動分析,及びチャットや掲示板の内容を対象としたコミュニケーション分析があるが,本研究では,後者の基盤技術を確立させることを目的とする.具体的には,仮想空間内のチャット,仮想空間外の掲示板,及びプログを対象とし,「キーワードの抽出」,「議論の視覚化」,「コミュニティの視覚化」に関する技術を提案し,実際のデータでの有効性を検証した. キーワードの抽出では,単語の重要度を出現頻度以外の指標を加えて評価するためにコメントの返信関係を考慮したモデルを参考にし,電子掲示板の文章中から影響のあるキーワードを発見する新たな手法を提案した. 議論の視覚化では,キーグラフという単語の繋がりを表すツールを用いて、コメント中における議論の可視化を行った.さらに前処理において,対象とするデータを,コメントの重要度により分割することにより,より詳細に議論を捉えることに成功した. コミュニティの視覚化では,受け取ったチャットメッセージと共通単語に着目し,これに基づいた指標でユーザ間のネットワークを構築し,実際のチャットルームのデータ及びオンラインゲームのクライアント側チャットデータに対して提案手法の有効性を確認できた.また,掲示板について,発言者の中で特に重要な人物,返信数,重要単語などを可視化することでよりわかりやすくする手法を提案した.
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