研究概要 |
本研究では,関節縮退を用いた多自由度ロボットの作業手法を提案している.これまで,ヒューマノイドロボットに代表されるような多数の自由度を持つロボットを対象に,関節自由度の縮退を用いた作業方法を提案し,作業に有効な縮退の定義および縮退が有効な関節を導出する手法について研究開発を行い,発表を行って来た.今年度は,主に手法の有効性の検証のためのシミュレーション実験,及び検証時実験のためのロボットマニピュレータの設計開発,および製作を行った. 手法の有効性の検証には,動力学シミュレーションシステムを用いて,縮退付近でのロボットの関節力学的挙動の検証を行った.一般的に,人間が作業を行う場合に縮退を用いる場合が多くあるが,その時,関節が縮退状態をはずれた場合,大きな関節角速度が発生する事が多くある.ロボットでも同様の事が発生し,危険な状態になる事が懸念されたからである.実験の結果,関節が縮退している状態付近で,手先方向や外力に変化があったとしても,大きく関節負荷トルクが変化するような事は無い事が力学的に実証された.ロボットと人間とでは関節の駆動方法が異なるため,人間と同じような危険な状況は無い事がわかった. また,前年度設計を行い構造解析を行って,設計最適化を行った3自由度マニピュレータの製作を行い,完成させた.これまで用いてきたロボットシステムより,大幅に出力を大きくしており,人間並みの関節角速度を実現できる予定である.現在,動作試験を行っている状況であり,次年度より提案手法の実機による検証実験を開始する予定である. これまでの有効な縮退を用いた作業方法の提案,有効な縮退可能関節導出手法などを論文として投稿できるように,まとめる作業を行った.次年度の初めまでに投稿できる予定である.
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