研究概要 |
家庭やオフィスで人間の生活をサポートするサービスロボットの教示を研究している.離れたところにある冷蔵庫からユーザの指示する飲料を取り出す作業を対象に,以下の研究を行った. 実験システムの開発:昨年度まで使用していたロボットは,リーチが短いため作業の途中で位置を頻繁に変える必要があり,また移動の誤差が大きかった.そこで,リーチが長いマニピュレータを用いて,多くの作業が1カ所で行えるようにし,また,移動誤差が小さいな移動台車を用いることで,作業の信頼性を上げることができた. 教示を行う物体情報の分類:家庭やオフィスに存在する物体について,どのような情報を教示する必要があるかを分析し,物体の形状や見えおよび機構(ドアなど)の不変の情報と,物体の位置と機構の状態(ドアの開き具合など)の可変の情報に分類し,その具体例と可能な教示方法を考察した. 認識に必要な物体情報の教示システムの試作:冷蔵庫の教示を例にとり,認識に必要な物体情報を対話的に教示するシステムを構築した.そこでは,ロボットがまず物体の一般的なモデルを用いて自ら物体の認識を試みた結果を教示者に提示し,検証を求める.認識結果が誤っていれば,教示者は正しい認識に有用な情報をGUIを用いて与え,ロボットはそれを基に再び認識を試みる.この繰り返しによって正しい情報が得られたら,ロボットは個別の物体情報を記録し,その後の認識に利用する. 物体の対話的認識:照明条件の変化などによって物体認識が成功しない場合に,ユーザから物体に関する情報を得ることにより,認識を成功させる方法を研究した.あり得る物体配置と各物体配置でどのような認識結果が得られるかを整理し,認識結果から状況を限定するために必要な情報を定め,それをユーザとの対話で得ることにより,難しい状況でも認識に成功できることを示した.
|