本研究は、移動型ロボットへの適用を主眼として、周囲環境の様々な形状や色に対応し、なおかつ高速な空間認識処理を実現する技術として、線分表現を用いた周辺3次元空間認識手法の確立と、実用化を目指した。 具体的には移動するカメラ映像より線分を抽出し、画像情報に比べ非常に小さい情報量となり、高速な処理が期待できる線分表現に変換する。そして線分表現から、面の存在判定を行い、物体の立体形状を認識し、最終的に3次元空間を認識するシステムを開発した。 まず初年度となる平成16年度において、画像情報に対し、線分表現への変換手法の確立を図り、線分表現による3次元空間認識手法を検討した。そして、この手法を用いたシステムの構築を図り、一連のリアルタイム処理が可能な実験環境の構築を図った。 2年目となる平成17年度において、このシステムの中における取得画像の高品質化、空間認識アルゴリズムの高速高精度化、パートナーロボットのシステム化、認識した3次元情報の多目的利用化のそれぞれの項目について検討した。 最終的には、精度の問題を含むが、ロボットによる3次元空間認識を行うための基本アルゴリズムを確立した。また、実用化に向けた実装を進め、自律ロボットに向けたシステムの構築を行った。 今後は、複数回計測することにより、精度の向上を目指す手法の確立を検討する予定である。また、実用化面においては、さらに低コストに実現可能となるよう、より汎用的なカメラやロボットを利用したシステムの構築を図る予定である。
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