研究概要 |
日常動作では,目的的/意図的に表出する1次動作に加えて,そのときの感情や疲労・覚などの心身様態に応じてそれを修飾する2次動作が複合されている。人間・知的機械システにおいても,こうした2次動作に注目することによって,システムをヒューマンフレンドリなものにすることが可能であろう。 本研究では,動作活用のヒューマンインタフェースを備えた人間・知的機械システムを考え,(i)人間の動作から1次動作をとらえるのみならず,付加された2次動作から感情や心身様態を理解し・読み解き,それを知的機械に送ることのできる「人間の認知模倣の動作理解機構」,また逆に,(ii)知的機械が人間に対し,目的的行為対応の1次動作のみならず,ある種の感情や心身様態対応の思いを込めた2次動作を複合して表出できるようにする「仮想マネキンの動作修飾機構」の実現を目指した。 本アプローチの特質は,目的行為や心身のあいまいな様態を人間の認知可能な意味複合体としてとらえるために,言語カテゴリを媒介としたコンピューティング法を考えた点にある。それら機構を具体化するため,物理的動作特徴量,動作様相言語カテゴリ,心身様態言語カテゴリ間の変換を「固有空間法」「隠れマルコフモデル(HMM)」「ショケ積分工一ジェントネットワーク(CHIAN)」を用いて実現するアルゴリズムの提案を行った。 その有効性を検証するため,いくつかの日常的基本動作タスク,心身様態のレベルに対応する演技動作を数人の被験者に行ってもらい,取得したモーションキャプチャによる動作計測データにこれら機構を適用して,実験の演技動作に込められた動作様相の同機構による推測結果の妥当性を確認するするとともに,与えられた基本動作タスク,様相要件に対応した仮想マネキンの動作を固有空間上での修飾操作により生成し,所与の基本動作に意図する言語的様相性を込められることを確認した。
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