本年度の当初計画は、(1)シナジェティクスを用いた高速ステレオマッチングアルゴリズムの開発と実装、(2)市街地ステレオ画像からの対象領域の抽出と認識、(3)市街地ステレオ画像から抽出された対象のステレオマッチングの実験、であった。 (1)に関して、細かな微調整は必要であるが、第一次開発を完了し実装した。平面で構成される表面が無地の物体やテクスチャーを含む物体、さらに曲面で構成されるテクスチャーを含む物体のステレオマッチングに適用した。テクスチャー画像のステレオマッチングでは、テクスチャエッジの量子化誤差に起因するマッチングミスが大きく、アルゴリズム中のアテンションパラメータの設定に課題を残した。(2)については、方法論の検討に留まり、アルゴリズムの開発までには至っていない。(3)については、ミニチュアによる市街地模型を作製し、そのステレオ画像から、建物対象が抽出されたとの前提おき、ステレオマッチングを適用した。まずカメラのレンズ歪みを考慮した校正を行ってカメラパラメータを推定し、歪を補正した効果がどれ位あるのかを実験的に確かめた。続いて、建物外形エッジのステレオ画像に対するステレオマッチングによりエッジの3次元位置を推定した。建物面がどのエッジの組み合せによって構成されるかを組み合せ最適化問題として定式化し、その最適化問題を解くことによって建物を構成する面の認識を行った。そして面の組み合わせによる対象形状の認識、そして直方体形状への3次元アフィン変換による3D復元を行い、マッチ箱モデルによる市街地の3D概略地図を試作した。
|