研究課題
前年度に引き続き、むだ時間を含む高木・菅野ファジィ連続時間システムの安定性、ならびにロバスト安定性に関する研究を行った。今年度は、以前よりも、より広いクラスのシステムの安定性を保証する十分条件を導いた。一般化されたリアプノフ・クラソフスキー関数に冗長な重み行列を導入することで、これまでの安定条件の保守性を軽減することができた。こうして求められた安定条件は、線形行列不等式で与えられた。線形行列不等式は、数値計算ソフトウエアにより簡単に解が求められるため、安定性の解析には非常に有効である。また、同様のアプローチを用いることで、より広いクラスのファジィシステムのロバスト安定性を保証する十分条件も導出した。さらに、上記で求めた安定性とロバスト安定性の条件に基づき、状態フィードバック則によるシステムのロバスト安定化制御則の設計を行った。また、数値的なシミュレーションを行い、これらの理論の有効性を実証した。次に、これらの理論を、ファジィ離散時間システムにも拡張した。連続時間システムの安定条件を参考にすることで、より広いクラスのファジィ離散時間システムのロバスト安定条件を求め、ロバスト安定化制御則の設計を行った。最後に、安定性の問題を、外乱抑制問題に拡張した。外乱抑制問題とは、システムの安定性のみならず、システムに混入する予期せぬ外乱を抑制しようとするものである。上記で求めた安定性の条件を拡張して、外乱抑制条件を導いた。また、こうして求められた外乱抑制条件が、これまでの条件よりも保守性が軽減された条件であることも証明した。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (1件)
Fuzzy Sets and Systems Vol.151, No.1
ページ: 167-190