研究概要 |
遺伝的アルゴリズム(以下GAと略す)は,ロバストな探索手法として注目され,多くの基礎および応用研究が行われてきた.しかし,GAがより汎用的な探索手法として発展するためには,従来のGAの枠組みを越えた大きなブレークスルーが要望されている.新しいGAの枠組みとして近年注目されているのが,統計的手法と融合した「確率モデルGA」である.確率モデルGAでは,従来の「遺伝的オペレータ」が,「個体分布の確率モデル推定とそのモデルに基づいたサンプリング」に置き換わる. GAがより強力な探索手法となるためには,評価関数における変数間の依存関係(リンケージ)の学習が重要となるが,確率モデルは,個体分布のモデル推定にこの機能を伴わせることが出来るので,有利であると考えられている.GAのコーディング法には各種のものがあるが,バイナリ表現,実数値表現および順序表現の3つが代表的である.バイナリ表現は汎用的なコーディング法である.実数値表現は関数最適化などに適している.順序表現はスケジューリング問題の解法などに用いられる. 確率モデルGAの各コーディングにおける研究は,バイナリ表現での研究が早くから始まり(1994),実数値表現への展開が行われている.しかし,順序表現における研究は,本研究におけるEHBSA(Edge Histogram Based Sampling Algorithm)の研究以外の有望な研究は発表されておらず,研究は快についたばかりである.本研究は,順序表現における確率モデルGAの構成法を提案し,その方式の解析的・実験的評価を行うことによって,新しい順序表現GAの枠組みを構築し,GA研究のブレークスルーに寄与することを目的とした.また同時に確率モデルGAと類似の手法であるAnt colony optimization(ACO)などへの研究の拡張を積極的に進めた.研究成果は,適時国際学会や雑誌等で報告した.
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