研究課題
書道やレタリングなどの文字メディアは、文字の書き方や文字配置の違いで見る人に様々な印象を与える。本研究では、文字メディア創作における工学的支援技術の提供を目的として、文字(カラー文字)の書き方・文字配置の特徴と人の視覚的感性との関係を明らかにし、その定量的表現法について検討した。まず実験1として、ゴシック体を基本に形態(線の先端形状と線の太さ)と色(色度と明度)とを変化し、カラー文字から受ける印象を調査した。調査では、カラー文字サンプルをLCDで提示し、被験者は各サンプルを見ながら印象を言語イメージスケール(カラーデザイン研究所)上の印象語にマークして回答した。結果として、カラー文字から受ける印象は色に対する依存度が高く、形態に対する印象変化はhard-softの印象軸方向に顕著であることが見出された。また、文字配置については文字並びをみて、ちょうどよく(バランスよく)感じられる文字間隔を調査した。結果として、文字間隔の尺度に誘導場理論に基づく距離尺度が有効であり、最適な文字間隔の存在が見出された。次に実験2として、既存フォント(ゴシック体、楷書体、隷書体など)に色を付加した実用カラー文字に対する印象を調査した。調査では6種の印象語対(予備実験で選定)を用い7段階のSD法で評価した。結果として、実用カラー文字に対する印象は色の依存度が高く、フォントによる印象変化は印象語対の‘格調ある-くだけた'および‘柔軟-堅固'で顕著であった。定量的表現法の検討として、実験1では線の先端形状をZ型フーリエ記述子の高調波成分で表現し、実験2ではフォントの形状を丸みのある・なしで2値化して表現した。また、色はCIE表色系の色度xyと明度Yで表現した。これらに線の太さを加えて文字の特徴パラメータとし重回帰分析を用いてカラー文字に対する印象予測式を得た。
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