本研究の目的は、日本におけるオーラルヒストリー・アーカイブ(口述史資料の収集・保管)の一手段としてインターネット上に映像アーカイブを構築し、ネット上での公開に係わる著作権、肖像権を含めた諸条件を同時に研究することである。 本年度は申請していた以下の3件の研究実施計画をすべて実行することができた。 (1)米国において日系アメリカ人オーラルヒストリー・プロジェクトの多くに中心的役割を担うアート・ハンセン・カリフォルニア州立大学フラトン校歴史学教授と、日系人のオーラルヒストリーをウエッブアーカイブとして展開するNPOとして評価の高いDenshoの代表トム・イケダ氏を招き、平成16年9月11日に立教大学において、研究分担者両名による主催事業としてワークショップを開催した。日本オーラル・ヒストリー学会の年次大会に引き続き開催し、日本におけるオーラルヒストリー実践者および研究者の多くの参加を得、手法および課題の具体例を参加者と共有することができた。 (2)研究代表者は平成16年9月29日-10月3日米国オレゴン州ポートランド市で開催された米国オーラル・ヒストリー学会(OHA)年次大会に参加し、当地在住の海外共同研究者ローリー・マーシエ・ワシントン州立大学バンクーバー校准教授と意見交換の機会を持った。またOHA技術委員会の小委員会に出席し、米国でウエッブアーカイブ作りのハード・ソフトの両面で学会会員を支援するマイケル・フリッシュ・ニューヨーク州立大学バファロー校教授ら委員会メンバーと音声検索システムをはじめとする具体的な開発の最新の状況に関して意見交換できた。 (3)研究代表者は平成16年8月にウエッブ・アーカイブ作りの進むシンガポール国立アーカイブにおいて、国立アーカイブ館長およびオーラルヒストリーアーカイブ担当部長らスタッフによる研修プログラムに参加し、資料収集の面でも成果を得ることができた。
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