1.空間語彙の概念構造についての認知科学的実証研究およびモデル構築 2物体間の位置関係の概念化における参照物への座標軸の写像現象について、日本語の「前・後ろ・右・左・先」などの語彙にみられる写像パターンがどのような条件下でシフトするかを、CG画像を用いた実験によって確認した。特に運動の有無や方向性・物体の位置関係および形態的特徴などのシフト要因の一部を明らかにし、日本語にみられる対象物整列型写像の出現要因の一部を解明した。また「さき・むこう」についての概念分析を進め、実験で解明しきれなかった細かい概念的特徴をモデル化した。 2.空間語彙と時間メタファーの認知意味論的モデル 日本語の「前・先」の空間的意味と用法および参照枠シフトの構造が、これらを用いた時間メタファーにおける用法・分布どのような平行性をみせるかを、実験的手法で明らかにするとともに、日本語における主体移動型時間メタファーと時間配列語の関係についてモデル化を行った。 3.位相空間語彙の時間への概念拡張 日本語の位相空間語彙「うちに・あいだに」などの接続詞化とその時間概念への拡張について、認知意味論にもとづく分析を行った。 4.感情メタファーの経験的基盤の研究 日本語および英語の感情メタファーについて、使用例を物語作品およびその翻訳を用いて検索し、採取された例から資源領域の種類と写像パターンを分析し、言語間の共通点・相違点を示した。身体的基盤の普遍性と個別性について、この分析をもとに仮説化した。 5.音声イメージの身体的基盤についての研究 日本語における阻害音・共鳴音、および母音の高低などの音韻素性が特定のイメージを喚起することを実験研究によって明らかにし、そこに身体的基盤が働いていることを示した。
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