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2007 年度 実績報告書

統合失調症患者の「心の理論」と症状および対人関係障害に関する融合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16500163
研究機関大阪大学

研究代表者

井村 修  大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (20176506)

研究分担者 石垣 琢麿  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (70323920)
キーワード統合失調症患 / 心の理論 / PANSS / 妄想観念 / 認知障害 / 対人関係障害
研究概要

統合失調症患者が,「心の理論」課題が困難であることを確認するために,Janssenら(2003)ヒント課題とBrunetら(2003)のコミック課題を用いた。被験者は統合失症患者14名,精神科患者(非統合失調症)8名,健常者7名であった。統合失調症患者には,症状評価のためPANSS,対人関係障害を測定するためにLASMIを使用した。統合失調症の当事者はヒント課題およびコミック課題の成績低下が認められ,統合失調症群において特異的であることが示唆された。この結果は,先行研究を支持する結果であった(Corcoranら,1995;Sarfatiら,1997;Brunetら,2003)。また,ヒント課題のエラーの内容の検討から,登場人物の発言や事実通りの意味の回答と,主観的な考えの回答がより統合失調症の当事者に相対的にあらわれやすく,まさに「心の理論」の障害に関連するエラーであると考えられた。また,「抽象的思考の困難」とヒント課題に関連があることが示唆された。さらに,LASMIとの関連から,抽象的な思考に困難があり,ヒント課題の成績が低いという二重の認知障害を抱えた当事者は,対人関係,とくに「人付き合い」がうまくないことが示唆された。さらにコミック課題においては,「集団活動」尺度との関連がみられた。このことから,統合失調症失調症において,周囲との関係を円滑に保つことに困難の生じることと,視覚的な情報かつ文脈のなかで登場人物の意図や願望を推測することの難しさには関連がある可能性が示唆された。以上の結果から,統合失調症患者には特異的な「心の理論」障害があり,当初予測していた妄想観念のような陽性症状ではなく陰性症状と関連があり,対人的適応の困難さの一因となっていることが確認された。今後統合失調症患者の社会的適応を支援していくうえでも,彼らの「心の理論」の問題を考慮する必要があろう。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2007

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 統合失調症における「心の理論」と精神症状との関連2007

    • 著者名/発表者名
      井村修
    • 学会等名
      日本心理学会第71回大会
    • 発表場所
      東洋大学(東京)
    • 年月日
      2007-09-19
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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