研究概要 |
3年間の研究の第1年においては、時素列データの非線形な多様性の構造的表現を見出すための方法論の検討と、分析事例の作成を行った。前者としては、以下のようなモデルを提案し、プロトタイププログラムを統計解析言語S上で作成・評価した。時系列データのウェルフォーマット化としては、適当な時間単位を設け、時間単位中の行動は1時点で生起したとみる整合化法をとった。 (1)二時点間の変化を差分や比で捉え、状態の変化を最初の時点の状態などで説明する回帰モデルを、MDL基準などを用いて構成する方法について検討した。 (2)時系列多変量履歴をもつ個体群の類型化の方法論の検討を行った。具体的には、多様な個体履歴を類型化するため、時点ごとの多変量特性ベクトルから、時点ごとの個体特性の類型を,自己組織化マップ(SOM : Self-Organizing Maps)により得て、その上で、この類型の履歴採取期間における頻度分布から、類型間の近傍関係を考慮した距離を用いるSOMにより、履歴採取期間全体での個体履歴類型を、個体に対し与える方法を提案した。さらに、この履歴類型を用いることにより,目的変数と説明変数の関係が類似した履歴類型を識別した上で,それぞれの履歴類型群の上でのロジスティック回帰など回帰モデルを与える方法を提案した。 また、提案方法論の検証と分析事例の作成として、行政関連データとして大津市の介護保険関連データでサービス評価の分析、および、企業におけるマーケティング関連データとして金融関連の履歴データで顧客の履歴類型の分析を行い、実務家と方法論の有効性の検証を行なった。後者のマーケティング関連データの分析のひとつとしては,日本オペレーションズ・リサーチ学会マーケティング・データ解析研究部会他が主催した平成16年度データ解析コンペティションに参加し、あるクレジットカードの利用履歴データを対象とした解析を行った。この研究成果は表記部会において敢闘賞を受賞した。
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