研究概要 |
多変量極値分布族のモデルを構築するためにデータの収集とその整理を行っている.本年度は主に気象関係の極値データを収集した.特に,日本各地の年最大風速のデータを集めその特性について調べている. 高橋は多変量極値分布についてその1次元周辺分布を中心に研究を行った.一般極値分布モデルを適合し上位r個までの極値データを用いて推測を行うときreturn levelの推定精度がどの程度改善されるか数値計算で調べ,精度はグンベル分布モデルの場合と同様にrに比例しては増加しない等の特徴を見出した.これらの特徴を理論的に調べた.また極値データに,一般極値分布と一般パレート分布を適合する際にreturn levelの推定精度がどの様に違うのかについて調べた.特に形状パラメータの値が0の場合,すなわちグンベル分布と指数分布の場合について情報量を計算し詳しく調べた. 渋谷は,多変量極値分布の性質を調べた.多変量極値分布で,1次元周辺分布を負の指数分布とする場合の周辺独立性の検定方法等について調べた.また,多変量極値分布の1次元の各変量間には独立かまたは正の従属関係がある.多変量極値分布の1次元周辺分布を標準フレッシェ分布として,各変量間の従属性のorderをstable tail従属関数を用いて定義し,その性質をcopular等を用いて明らかにした.応用として,既存の多変量極値分布のパラメトリック族のパラメータと従属性のorderの関連について調べ,実データへの適用を行った.
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