研究概要 |
ニワトリ網膜視蓋投射において終脳由来コンドロイチン硫酸(CSs)は網膜神経節細胞の軸索伸長を抑制性に制御する。CSsはAからEのユニット構造の組み合わせによる多様な構造を呈する。MO-225モノクローナル抗体によって認識されるCSsは(1)胚の網膜軸索路を取り囲むneuropilに高密度で存在し、(2)網膜軸索路を取り囲むneuropilに接して視索の深層を走行する網膜軸索の細胞膜外表面に提示されていた; MO-225によって認識される特定のCSが網膜軸索路の境界の設定と、視索内部に認められる発生段階に依存した網膜軸索の層状の走行(chronological sorting、初期に走行する軸索は視索の深層を、後期に走行する軸索は視索の浅層を走行する)に関わることを示唆した。 CSの構造多様性を解析するために、AからEユニットをそれぞれ濃縮した脂質誘導体(CSs-PE)を疎水的に吸着させたビーズ(CSビーズ)を作成した。CSビーズのフローサイトメトリーを行い、MO-225の抗原特異性を検討したところ、D, E,またはCユニットを豊富に含むCSビーズに強い結合を示し、これらを豊富に含むCSが網膜軸索路形成とchronological sortingに関わることを示唆した。それぞれのCSビーズを培養基質上に散布し、網膜成長円錐がCSビーズに遭遇する際の行動をタイムラプス観察した。CおよびDユニットを多く含むCSビーズは成長円錐の行動に大きな影響を与えなかったが、他のユニットを多く含むビーズについては検討中であるが、CSに対する成長円錐の感受性には多様性が有るようだ。CSsに対する成長円錐の多様な感受性は視索における網膜軸索のchronological sortingと関係すると考えられる。
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